日本計算機統計学会

将来計画委員会 活動報告


報告目次

  1. 将来計画委員
  2. 基本方針
  3. 活動方法
  4. ワーキンググループ(審議内容)
  5. 活動日程
  6. 答申 案

1.将来計画委員

 委員長 正法地孝雄
  上坂浩之  遠藤武之  後藤昌司  佐藤義治
  白旗慎吾  田中 豊  垂水共之  福田善一
  松原義弘  南 弘征  森 裕一


2.基本方針

会長の諮問を受け,次の方針で学会の将来計画を検討するため,期限付き(1年間)委員会として発足したものである。

デジタル革命時代の学会のあり方(全体像)として,次の特徴を前面に打ち出して,学会の将来を考える。
 
本会は,計算機統計学に興味のある人々の集団,一般社会にも開かれた計算機統計学についてのcommunicationの場を提供する。各種メディアに対して計算機システムをより有効に活用しデータ科学の発展に寄与する計算機指向型データ科学を目指す。また,データ情報を集約する技術などを必要とする他の学術分野の発展に貢献する。

.活動経緯

次の活動方法で検討を行った。

  1. 第26回評議員会で提案された検討内容の各項目をワーキンググループに分かれて検討する。
  2. ワーキンググループは,5月13日の評議員会および14日の総会に上程できる具体的・実質的な計画案を策定する。規定改定はその文面,リストアップはその宛先など,13,14日の議決後,実施に移せるように検討する。
  3. ワーキンググループの活動は,責任者の指示の下,適宜行う。
  4. 中間報告・意見交換として,次の場を設ける。
    1. 検討内容の一段落する毎に中間報告の形で将来計画委員会専用のホームページに掲載する。
    2. 連絡,意見交換に,メーリングリストを活用する。
    3. 3月末と4月末にSCSを利用した全体会を行う。
  5. 最終会合(最終調整とまとめ)
      5月13日(水) 14:00〜16:00
        (株)日立製作所公共情報営業本部(評議員会と同じ場所)

.ワーキンググループ

リンクをクリックすると,審議内容が表示されます。

検討項目 責任者
評議員会と理事会の関係 垂水・遠藤
役員任期,名誉・特別会員 正法地・後藤・福田
学会誌送付・寄贈先のリストアップ 佐藤・上坂
事業関係
  デジタル学会誌(YearBook)
  ホームページの充実
  オンラインシンポジウム
  共同研究,統計相談
  計算機統計情報の収集
松原・森・南
国際交流 田中・白旗
学会賞(奨励賞の設置) 垂水・森
事務局 正法地・福田

5.活動日程

次の日程で活動を行った。

1997年5月 会長からの提案により,将来構想について検討することが1997年度の事業となる。(1) 会誌のあり方・ホームページとインターネットの積極的利用・学会の組織面の検討・特別会員制などを検討内容とする,(2) 1年間の期限付きで,来年度の総会での答申を目指す,(3)メンバーを数名程度選出して検討に入る,などの方向で進めることが承認された。
1997年10月 将来計画に関して審議する委員会の発足
1997年11月 将来構想の検討事項が評議員会に上程される。これを原案とし,将来計画員会で答申作成に入る。
2月 ワーキンググループを立ち上げる。
3月30日 SCSによる中間全体会1
  13:00〜15:00
  キー局 岡山大学 広島大学 大阪大学 北海道大学 統計数理研究所
4月28日 SCSによる中間全体会2
  18:00〜20:00
  キー局 岡山大学 広島大学 大阪大学 北海道大学
5月13日
 14:00〜16:00 まとめの全体会
 16:30〜18:30 評議員会

6.答申 案

  1. 評議員会と理事会の関係

    今後,本会を飛躍的に発展させるためには,現在の評議員会と理事会の関係ではそれぞれの役目が十分でないので,形式的にこれらの守備範囲を明確にするために以下のようにする。

    上記の内容は会則の変更を伴うため,以下の変更を提案する。

    会則の変更案(変更点のみ 全文は別紙を参照)

    現  行 改  正
    第3条 (2) 研究報告会その他の学術的会合の開催 (2) 研究発表会その他の学術的会合の開催
    第10条 理事は,次の会務を分担するものとする。
    庶務,会計,渉外,広報,会誌編集,企画,その他評議員会で必要と議決された事務を行う。
    理事は,次の会務を執行する。
    企画,会計,庶務,会誌編集,国際交流,広報,渉外,その他評議員会で必要と議決された事項。
    第11条 理事は,評議員会で会員の中から選出する 理事は,原則として評議員の中から選出する
    第13条 監事は,評議員会が理事以外の会員の中から選出する。
    監事は,会計監査を行う
    監事は,評議員会が理事以外の会員の中から選出する。
    監事は,会計監査および理事の業務執行状況の監査を行う
    第15条   (新規追加)会務執行のため,理事会の議決を経て,必要な委員会を置くことができる。

     

  2. 役員の選出にあたっての被選挙権について

    学会を老齢化させず,学会の躍進のために,若手の学会への貢献を期待する必要がある。そのためには老齢になられた方々に換わって若い方々から役員を選出する必要がある。そのためには,誰にもわかりやすい形で,客観的に評議員の被選挙権有資格者の条件を設定する必要がある。具体的には次の条件を提案する。

    上記の内容は細則の変更を伴うため,以下の変更を提案する。なお,実施にあたっては,選挙時に有権者氏名の公表が必要になる。

    細則の変更案(変更点のみ 全文は別紙を参照)

    現  行 改  正
    第3条 (2) 研究報告会およびその他の学術研究会においてその規定に従い研究発表を行う。 (2) 研究発表会およびその他の学術研究会においてその規定に従い研究発表を行う。
    第4条 会費は3月までに納入しなければならない。 会費は当該年度3月までに納入しなければならない。
    第8条 会長,副会長の任期は連続2期までとする。 会長,副会長の任期は連続2期までとする。
    その他の役員就任時に63歳以下の者があたり,任期は連続3期までとする。
    第15条 研究報告会および学術的会合の運営のために参加費を徴収することができる。 研究発表会および学術的会合の運営のために参加費を徴収することができる。

     

  3. 名誉会員・特別会員について

    学会の充実のために,名誉会員,特別会員の制度を設けるべきである。そのために,ワーキンググループまたは委員会を設け,規程作りや人物選定に取りかかるのがよいと考える。

  4. 学会誌について

    4-1 学会誌の寄贈

    本会の広報活動の一環として,また世界へ本会をアピールする意味でも,学会誌の寄贈先を選定して,送付すべきである。また,2次資料として本会の学会誌が利用されるような工夫も必要である。そのための情報を広く会員に知らせていくと共に,寄贈先については,和文誌・欧文誌両編集委員会があたり,適宜更新していくのがよい。選定先の決定には評議員会の承認を得るものとする。

    4-2 学会誌のデジタル化

    将来的には紙の学会誌からCD-ROMやWWW上への公開などのデジタルメディアへの完全移行も可能性としては考えられる。当面は,著作権を考慮しながら,その年度に発行された学会誌の年報(Year Book)の形でCD-ROMに収める方向が適当と考える(10周年記念CD-ROMの続編の形)。これには,投稿論文のフルテキストに加え,そこに使用したプログラムやデータなども一緒に掲載し,必要に応じて会員に有効と思われるフリーソフトや数値表などの付加情報も掲載する。これらの説明文などはできる限り日英2か国語で記載する。

    実際の取り組みは,5の学会事業と歩調を合わせ,ワーキンググループまたは委員会を作り,両編集委員会と協力しながら,実施に移すのが適当と考える。

  5. 学会事業について

    5-1 ホームページの充実

    これについては,すでに取り組みがなされており,さらにホームページに載せるべき情報を集め,活用されることが期待される。また,以下のオンライン関係のイベントの実施もホームページの充実につながる。

    5-2 オンラインシンポジウムの開催

    計算機統計学会としての特徴を出した新しい試みとして,インターネットを利用したシンポジウムの企画を提案する。具体的には次のようなものである。

    春の大会や秋のシンポジウムの半年くらい前に,テーマと数名のパネラーを決める。本会のホームページ上にテーマ別にパネラーなどの意見を掲載し,定期的に意見の交換などを掲載して一般会員も参加できるようにする。この形で議論の基盤を作ってから,春の大会や秋のシンポジウムでオフラインのまとめのシンポジウムを開催する。

    実際の取り組みは,ワーキンググループまたは委員会を作り,実施に移すのが適当と考える。

    5-3 オンラインポスターセッション

    オンラインシンポジウムの簡略版で,テーマを定めることなく発表希望者が所定の形式で,ホームページ上のポスターセッションに投稿する。これに対して,会員が質問や議論を行うという形にする。この試みの発展のためによい提案をした著者に本会が何らの表彰を行うことを考えてもよい。

    実際の取り組みは,ワーキンググループまたは委員会を作り,実施に移すのが適当と考える。

    5-4 オンライン統計相談

    計算機統計学やデータ科学の啓発のために,統計相談を会員外からも受け付ける。担当者は,対応可能な会員にその問題の回答をお願いする。この問題の振り分けは理事が交代で行うのが適当である。すなわち,理事全員で対応するという原則を据え,特定の人に労力が偏らないようにすべきである。
    会員に数理統計学など統計科学の本質を知らない人からの質問も来ることも予想されるので,その対応を十分に考えておく必要はある(たとえば,必ず紹介状のようなものを必要とするシステム)。

    実際の取り組みは,ワーキンググループまたは委員会を作り,実施に移すのが適当と考える。

  6. 学会賞(奨励賞の新設)

    若手研究者の研究意欲を高めるために,学会賞に「奨励賞」を設けるべきである。具体的には,30歳以下の賛助会員または正会員が大会・シンポジウム,学会誌で発表した論文を審査対象とし,優秀なものを表彰する。

    これについては,すでに賞委員会が動いており,次の賞規程の変更が評議員会で上程される。

    賞規程の変更案(変更点のみ 全文は別紙を参照)

    現  行 改  正
    第2条 日本計算機統計学会の賞は,本学会の主旨の推進,水準の向上に貢献したものに授与するものとし,次のものからなる。
     1 貢献賞 (Outstanding Services Award)
     2 優秀賞 (Distinguished Achievement Award)
     3 文献賞 (Distinguished Reference Award)
     4 ソフトウェア賞 (Outstanding Software Award)
    日本計算機統計学会の賞は,本学会の主旨の推進,水準の向上に貢献したものに授与するものとし,次のものからなる。
     1 貢献賞 (Outstanding Services Award)
     2 優秀賞 (Distinguished Achievement Award)
     3 文献賞 (Distinguished Reference Award)
     4 ソフトウェア賞 (Outstanding Software Award)
     5 奨励賞 (Incentive Award)
    第4条 (表彰) (表彰内容)
      (新規追加)D 奨励賞は次の各号に該当するものから選考し,原則として毎年若干名(または,グループ)に授与する。
     1 年齢が30歳以下である若手の研究者が計算機統計学会の大会・シンポジウムまたは学会誌に発表した論文の中から,優秀と認められるもの
     2 日本計算機統計学会の会員または賛助会員

     

  7. 国際協調

    日本からの情報発信のために,学会として国際交流を推進していく。具体的には本会の会員がどのようにかかわっていくかが問題になり,学会としてはその個人をどのように応援していくかが問題となる。日本統計学会のBernoulli Societyとの連携の取り方が参考になる。本会としては, IASCとの関係をどのようにしていくかが鍵となろう。

  8. 事務局の問題

    本会が計上している人件費は単独の事務局がもてるような金額ではなく,現在,岡山大学に学会事務局の仕事を全面負担していただいている。この状態をいつまでも続けるのは学会として問題であるし,事務局を引き受ける先にはそれぞれの事情があり,岡山大学の場合も現在の人件費では現状を維持できない状況になりつつあるとのことである。したがって,ある程度現状を維持しながらも何らかの改善策を講じる必要があり,本委員会では次のような分析を行った。

    現在,岡山大学の来年度の事情が確定していない面があるので,この確定を待って,現状を維持できる場合でも人件費の値上げを行い,仕事量を考慮する必要がある場合は会費請求と発送業務を外部委託することを考えたい。

    いずれにしても,人件費の高騰は避けられないため,上記の分析から,現在の会費を2,000円程度値上げすることを提案する。また,これにともない学生会員を新設し,現在より安い会費を設定するのがよい。これについては,評議員会等で十分検討し,早い時期に会費の値上げを実現すべきと考える。

    なお,事務局の仕事については,持ち回りも可能となるようにマニュアル化を試みるべきである。この意味でも会費請求と発送業務は外部委託が適当である。

  9. その他

    学会として,一般社会へどのように貢献するかを考えたい。学会としてある程度責任を持った形で,メーカーと研究者との間の仲介役を果たすことなどが考えられる(この場合の手数料は学会の経営資金とする)。今後,検討を継続していくべきである。

 


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