第9巻第2号 目次
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論文
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ホップフィールドネットワークとセルラーニューラルネットワークによる連想記憶についての比較検討 章 忠・川畑洋昭
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主成分得点を用いた主成分軸の解釈 猪原正守
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尺度混在データの冗長性分析 齋藤堯幸・中島 晃
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総合報告
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インターネットと表現の自由 常本照樹
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学会活動記事
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第10回日本計算機統計学会大会報告 正法地孝雄
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欧文誌掲載論文概要: J. Japanese Soc. Comp. Statist., 8(1), 1995 大西治男・上坂浩之
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関連学会記事
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COMPSTAT'96 参加報告 水田正弘
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読者の広場
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10周年記念チュートリアルを終えて 南 弘征
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編集委員会からのお知らせ
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執筆要項 編集委員会
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ソフトウェア記事:募集要項 編集委員会
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会員募集 事務局
ホップフィールドネットワークとセルラーニューラルネットワークに
よる連想記憶についての比較検討
章 忠:岡山県工業技術センター
〒701-12 岡山市芳賀 5301 (Tel. 086-286-9620)
川畑洋昭:岡山県立大学 情報工学部
〒719-11 岡山県総社市窪木 111 (Tel. 0866-94-2097)
ホップフィールドネットワーク(HF)とセルラーニューラルネットワーク(CNN)は, ともに連想記憶媒体としての機能を持つが, その連想記憶の方式, 連想の過程は異なっている. 本研究は 9×9および 3×3のマトリクスユニットにおけるパターンの自己想起シミュレーションにより, HFとCNNの連想記憶の特性について比較, 検討したものである. 9×9では漢字に関するシミュレーションを行い, CNNの記憶能力はHFの記憶能力を超えることを実証している. また, 3×3ではすべての初期パターンからのシミュレーションを実行し, 記憶パターンとその初期パターン間のハミング距離との関連について考察している. CNNの記憶能力はHFの記憶能力を遥かに超えるが, 記憶容量が増える反面, 記憶させたパターン以外のパターンが同時に記憶される特徴を有している.
keyword{Interconnecting network}
主成分得点を用いた主成分軸の解釈方法の提案
猪原正守:大阪電気通信大学 情報工学部情報工学科
〒572 大阪府寝屋川市初町18-8 (Tel. 0720-20-9000)
観測個体を, 主成分得点の符号によって定義される観測個体の正符号群と負符号群での観測変数の平均値の差を検定することによって主成分軸を解釈するための方法を提案する. この方法は, 観測変数が正規分布に従う限り共分散行列の固有ベクトルに基づく従来の方法と同様な性質を持つことが示される. また, Mardia, Kent & Bibby(1979)と田中・垂水・脇本(1984)からの2事例に適用し, 有効に機能していることを示す.
keyword{Test on means, Normal theory}
尺度混在データの冗長性分析
齋藤堯幸:東京工業大学社会理工学研究科
〒151 東京都目黒区大岡山2-12-1 (Tel. 03-5734-2280)
中島晃:北海道大学文学研究科博士後期課程
〒060 札幌市北区北10条西7丁目 (Tel. 011-706-4051)
冗長性分析(RDA)は元来, 2つの連続な変数セットの従属関係を分析する手法として提案され, 多様に研究されてきた. 本論文は, 連続変数とカテゴリー変数から成る尺度混在データへRDAを拡張した手法(QRDA)を提案する. 人工データを用いたシミュレーションにより, QRDAによる分析結果の安定性を検討し, 手法の有効性を示す. またQRDAと, Israёlsの提案によるカテゴリー変数のみからなるデータのRDAを比較する. さらに両手法を同一のカテゴリカルデータに適用し, 得られた知見の相違を検討することで, QRDAの実用性を示す.
keyword{Descriptive data analysis, Monte Carlo study, Qualitative data, Quantitative data}
インターネットと表現の自由
常本照樹:北海道大学法学部
〒060 札幌市北区北9条西7丁目 (Tel. 011-706-3148)
インターネットはきわめて民主的な媒体であり, さまざまな情報を誰もが低コストで送受信できる. しかし同時に, ポルノグラフィーや差別的表現など, 問題ある表現の洪水をも引き起こしている. 本報告ではまず, これらの情報を制御するための世界各国や国際機関におけるとりくみを概観する. アメリカでは通信品位法が定められ, 合憲性を問う裁判も起こされた. 一方, 日本において, 郵政省は法規制を避け, インターネット関連組織に基本的責任を与える方向で検討を始めるとともに, 子どもにとって有害な画面をフィルタリングするソフトウェア開発を奨励している. しかしながら, わが国においては「自主規制」が過剰になりがちだという問題もあるし, ソフトウェアによるブロックにも実効性のみならず, ユーザーの手の届かないところで表現内容がコントロールされるという問題がないわけではない. 最後に, インターネットにおけるコンテンツ規制の憲法的論点について整理する.
keyword{Harmful contents, Constitution, Cyberspace}
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