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「計算機統計学」第23巻1号 目次・要旨
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論文
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ベキ正規分布に基づくROC線の構成 |
下川敏雄・後藤昌司 |
総合報告
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日本の自殺データにおける時空間解析 |
冨田 誠・石岡文生・藤田利治 |
対照比較のための多変量多重比較法について |
今田恒久・中村智洋 |
学会活動記事
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日本計算機統計学会第23回シンポジウム報告 |
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中村永友 |
欧文誌掲載論文概要: J. Japanese Soc. Comp. Statist., 22(1), 2009 |
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濱崎俊光 |
関連学会記事
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JKSC2010参加記 |
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小田牧子 |
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ベキ正規分布に基づくROC線の構成
下川敏雄・後藤昌司
医学分野では, 適切に疾病の有無を予測するための臨床検査値の探索が重要な要件の一つである. このとき, 有用な統計的方法の一つが受信者動作特性(ROC:Receiver Operating Characteristic)曲線である. そこでは, 解釈の簡便さ, あるいはその後の統計的推測の観点から, 正規分布に基づくROC曲線が広く用いられている. ただし, このような検査値が正規分布に従う現象は稀である. このとき, 検査値の正規性を満たすために, 検査値にベキ変換を施し, そのうえで正規分布に基づく方法が適用されている. しかしながら, この変換に基づく方法では, ROC曲線の推定から曲線の解釈までの一貫性を保持できない. 本論文では, 包括的な接近法として, 検査値の潜在基礎分布にベキ正規分布を想定したベキ正規ROC曲線を提案した. そのうえで, 疾病の有無を識別する最適カットオフ値を選定した. さらに, ベキ正規ROC曲線の性能を, 事例および若干の数値検証により評価した. その結果, ベキ正規ROC曲線は, 2群が異なる形状を示す場合にも適合結果が良好であった. |
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日本の自殺データにおける時空間解析
冨田 誠・石岡文生・藤田利治
昨今, 急激に増加している日本の自殺者数について, 各省庁でも様々な対策を講じているが, 統計的な把握が重要であることは明白である. 1973年から2007年までに収集された各市区町村の自殺者数を, 5年間ごとの6期間(最初は10年間) と二次医療圏の348領域にまとめ, その推移・傾向をEchelon解析を用いて, 空間分析
を行った. また空間の集積性だけでなく, 6期間の時間的な流れを考慮した時空間解析も行い, 統合的な推移・傾向を考察した. |
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対照比較のための多変量多重比較法について
今田恒久・中村智洋
多変量正規母平均に対する対照比較のための多重比較法について, 母集団の共通な分散共分散行列を既知と仮定した下でシングルステップ法, ステップダウン法, ステップアップ法の3手法について, これまで得られた結果について総合的に議論する. シングルステップ法では指定した有意水準を正確に満たす対比較の棄却限
界値を決定し, さらに検出力を定式化する. 次に, 母集団の個数を変化させながら決定したシングルステップ法の棄却限界値よりステップダウン法の各段階の棄却限界値を構成し, 最大タイプI FWEが指定した有意水準以下となることを示す. さらに検出力を定式化し, シングルステップ法より一様に検出力が高いことを示す. また, ステップアップ法の各段階の棄却限界値は段階毎に確率と単調性に関する条件を満たすよう決定しなければならないが, 一般的な決定可能性は不明であるため, 或る条件の下で数値例より棄却限界値の存在を確認する. 各段階の棄却限界値が決定した仮定の下で最大タイプI FWEが指定した有意水準以下となることを示し, 検出力を定式化する. 3 手法に対して棄却限界値と検出力についての数値例を与え, その特徴を調べ, 3手法を比較する. |
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