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「計算機統計学」第21巻1-2号 目次・要旨
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論文
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ランダム関数の関数主要点と関数クラスタリングについて |
清水信夫・水田正弘 |
相対射影追跡法の関数データへの拡張 |
弘新太郎・南 弘征・水田正弘 |
ボラティリティ予測モデルの提案 −ASCAViaRモデルの拡張− |
鈴木直明・朝日弓未・山口俊和 |
ファジィトレンドモデルに基づくトレンドの構造変化の検出法 |
桑原優美 |
総合報告
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罰則付きスプラインによる非線形回帰構造の推測 |
坂本 亘・井筒理人・白旗慎吾 |
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学会活動記事
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日本計算機統計学会第21回シンポジウム報告 |
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千葉 弘 |
日本計算機統計学会第22回大会報告 |
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中村 彰 |
欧文誌掲載論文概要: J. Japanese Soc. Comp. Statist., 20(1), 2007 |
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濱崎俊光 |
関連学会記事
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COMPSTAT2008に参加して |
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韓 相勲 |
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ランダム関数の関数主要点と関数クラスタリングについて
清水信夫・水田正弘
大量の関数データが存在するとき, これらを少数のグループに分類したり, 特徴的な関数データで要約したりすることが必要になる場合がしばしば生じる. このために, 関数データ解析(Ramsay, 1982; Ramsay & Silverman, 1997, 2005)の一手法である関数クラスター分析が代表的な手法として用いられている. 一方, クラスター分析のK-means法と同様の規準に基づき, 与えられた確率変数に関して空間を, 個の領域に分割したときの重心として主要点(principal points)が定義されている(Flury, 1990). Tarpey & Kinateder(2003)は, 関数データを確率的に扱うためにランダム関数を利用し, ランダム関数の主要点を提案した(通常の確率変数の場合と区別するために, これを関数主要点と呼ぶ). また, ランダム関数を正規直交基底展開したときの係数の分布に対する第1主成分の主要点の値を用いて, 正規ランダム関数における関数主要点の理論値を示した. しかし, 第1主成分の寄与率が小さい分布においては, 1変量確率変数の主要点の値の適用を前提とした導出は適切ではなく, 多変量確率変数の主要点の値を用いた関数主要点の導出が不可欠である. また, 関数主要点は関数クラスター分析と密接な関係があるが, 関数データのクラスタリング結果と関数主要点の値との関係について踏み込んだ研究は少ない. 本論文では, 多変量確率変数の主要点の値を用いることにより正規ランダム関数における関数主要点の理論値を示した. また, ランダム関数に従う関数データを生成し, それらにさまざまな初期値を与え関数クラスタリングを適用した. それにより得られた多数の局所解の各クラスターの中心関数を, ランダム関数の関数主要点と比較し, 関数クラスタリングの解の精度や局所解の出現回数などについて考察した. |
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相対射影追跡法の関数データへの拡張
弘新太郎・南 弘征・水田正弘
本論文では,射影追跡法の拡張として提案された相対射影追跡法(Mizuta, 2002a) を,関数データ解析(Ramsay, 1982; Ramsay & Silverman, 1997) の手法に拡張した関数相対射影追跡法を新たに提案し,数値実験と実データへの適用例を通じて,その有用性を示す. 従来の射影追跡法を関数データ解析に拡張し
た関数射影追跡法が,Nason(1998) によって提案されている. この手法は,関数データを低次元空間に射影した際に,正規分布から最も離れた構造を検出するため,正規分布以外の構造から離れた構造を検出できない. これに対し,関数相対射影追跡法は,正規分布の代わりに解析者が興味のない関数データを定義し,その集合のデータ構造から最も離れている「興味深い」構造を探索する手法である. 例えば,関数データのある部分集合の特徴を探索する場合に,その上位集合である関数データ全体の構造と比べて,部分集合に特有の特徴(上位集合との違いが最も大きい関数の一部分や周期) を検出することができる. 数値実験により,関数射影追跡法では検出できないデータ構造を提案手法が検出した結果を示す. また,実データへの適用例として,イギリスで実施されたNational study of health and growth(Holland et al., 1999a, b)の小児の成長曲線のデータを解析し,' 歳時に低身長であった女児の特徴を検出した結果を示す. |
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ボラティリティ予測モデルの提案 −ASCAViaRモデルの拡張−
鈴木直明・朝日弓未・山口俊和
株価の時系列分析において,ボラティリティ予測の需要は高い. ボラティリティとは株価の
変動の大きさを表す指標である. 株価のボラティリティ予測のためのモデルの1つとしてGARCHモデルがある. GARCHモデルはボラティリティ・クラスタリングという株価のボラティリティがみせる特有の変動も反映させている有用なモデルであるが,GARCHモデルは確率変数の分布を仮定するパラメトリックな手法であり,仮定した分布と実際の分布に乖離が生じると予測が外れてしまう危険性がある. そこでASCAViaRモデルを用いたボラティリティ予測が提案された. ASCAViaRモデルを用いたボラティリティ予測はセミパラメトリックな手法で,分布を仮定する必要がないという利点があり,予測精度はGARCHモデルに匹敵することが示されている. 本研究はASCAViaRモデルにおける期待値の仮定を変更したモデルを提案し,予測精度を検証する./TD>
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ファジィトレンドモデルに基づくトレンドの構造変化の検出法
桑原優美
本論文の目的は, 構造変化が生じたときそれが観測値に急激に反映されず, 時間をかけてゆっくりと観測値に反映されていくファジィトレンドモデルを考案し, 構造変化の検出手法を提供することにある. 従来の変化点検出手法で想定される時系列は, 構造変化がある時点で突然発生し, それが速やかに観測値に反映されるという仮定がなされている. 本論文では時系列のトレンドの構造が緩やかに変化する場合を考える. 提案した構造変化の検出法の有効性をシミュレーションによって検証する. さらに実証分析により通常の構造変化の検出手法との相違を明確にし, その実用性を示した. |
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罰則付きスプラインによる非線形回帰構造の推測
坂本 亘・井筒理人・白旗慎吾
スプラインによる平滑化の研究の近年の動向を概説する. 平滑化(罰則付き)スプラインが混合効果モデルで表現できるという点が注目されている. 打ち切りベキ基底を用いる罰則付きスプラインは, そのまま混合効果モデル表現に帰着され, スプラインや罰則項の複雑な計算を回避することから, とくに有用である. 罰則付き回帰問題とBayes流接近法との関連も重要である. 罰則付きスプラインの滑らかさを制御する平滑化パラメータの選定問題では, 従来は(一般化) 交差確認法の利用が主流であった. しかしながら, 混合効果モデルの分散パラメータの推定問題に帰着されうることから, 制限付き最尤推定法(REML) またはこれと同等な経験Bayes 法がより有用であり, 実際に主流になりつつある. 罰則付きスプラインによる線形(多項式) 回帰仮説の検定は, ランダム効果の分散が0であるか否かの検定に帰着され, 制限付き対数尤度比統計量が有用とされている. ただし, その帰無分布は漸近的には得るのが困難であり, 乱数を用いて再現される. シミュレーションにより, 対数尤度比統計量よりも平滑化パラメータのREML推定量自体が高い検出力を与えることが示される. 最後に, 罰則付きスプラインは諸種の回帰モデルへの拡張が可能であり, その推測方法は混合効果モデル表現およびBayes 流接近法により展開される. |
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