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「計算機統計学」第17巻2号 目次・要旨

論文

部分変量群に関する2母平均ベクトルの差の群逐次検定
中村智洋・道家暎幸
データ適応型判別解析とその診断
下川敏雄・後藤昌司
加法的なノンパラメトリック回帰モデルのあてはめによる交互作用と外れ値の検出 肥田英明
経時対応データに潜む交互作用構造の探索:樹木構造接近法による推測
池田公俊・杉本知之・後藤昌司

総合報告

ファジィクラスタリングと多変量解析
佐藤美佳

学会活動記事

日本計算機統計学会第18回大会報告
岸川良一
欧文誌掲載論文概要: J. Japanese Soc. Comp. Statist., 16(1), 2003
越智義道
部分変量群に関する2母平均ベクトルの差の群逐次検定
中村智洋・道家暎幸

多変量観測値ベクトルをもとに, 処置間の効果の差を調べるため, 2母平均ベクトルの差の検定を行う. その結果, 有意差が認められたと き, どの変量間に有意差があるかを調べることが必要な場合がある. 本研究では, 全変量をいくつかの部分変量に分割し, 分割された各部分 変量群に対応する2つの部分母平均ベクトルの差について逐次的に検定を行う群逐次検定方式を考える. そして, 計画行列を用いた統計量と Raoによって提案された統計量の2つの統計量による群逐次検定方式を考案する. シミュレーションでは, 2つの統計量に対する検出力の比 較検討を行う. 最後に事例研究では, これら2つの統計量の各々について部分変量間に有意差がある段階を調べる.
データ適応型判別解析とその診断
下川敏雄・後藤昌司

本論文では, データの潜在基礎分布に「多変量ベキ正規分布」を想定する, データ適応型判別解析の方法を提案する. さらに, 本論文では, データ適応 型判別解析の結果の妥当性確認を与える統計的診断の方法を提示する. この方法の性能を文献例およびシミュレーションで評価した. 線形判 別解析および多変量ベキ変換に基づく判別解析(Riani and Atkinson, 2001)の正判別率は, データの分布形状の歪みが大きくなるにつれて減少 したが, データ適応型判別解析では, 殆ど減少しなかった.
加法的なノンパラメトリック回帰モデルのあてはめによる交互作用と外れ値の検出
肥田英明

本論文では, 交互作用を直接的に表現できないノンパラメトリック回帰手法による交互作用検出法を提案する. また, 局所的に存在する交互 作用と外れ値を局所的なデータ構造と解釈してそれらを共通の手順で検出できることを示す.
シミュレーション研究と現実データへの適用結果から, 提案するグラフィカルメソッド並びに検定法は, 交互作用と外れ値の有無を共通の 方法論で視覚的並びに定量的に判定可能なことが分かった.
経時対応データに潜む交互作用構造の探索:樹木構造接近法による推測
池田公俊・杉本知之・後藤昌司

本稿では, データに含まれる非線形構造, とくに交互作用構造を捉える柔軟な接近法として, 多変量適応型回帰スプライン(MARS)を経時対応データの解析 の場面に拡張した接近法であるL-MARSを提示し, その方法論について検討した. また, 事例検討およびシミュレーションを通してその試行 性能を評価した. その結果, L-MARSは, 従来の方法でみつけることが困難であった観測値の時間変動および時間と他の共変量の間の交互作 用構造を容易に発見することができた.
ファジィクラスタリングと多変量解析
佐藤美佳

従来より, ファジィ理論を既存の多変量解析に適用し, 現実のデータに内在する不確実性あるいは, 方法論そのものの不確実性を積極的 に取り入れようとするファジィ多変量解析の方法が提案されている.
本稿では, ファジィ多変量解析の中で, 特にファジィクラスタリングについて概説し, 近年筆者らにより提案されているファジィクラスタ リングと既存の多変量解析手法とのハイブリッド手法について紹介する.

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