|
|
「計算機統計学」第15巻1号 目次・要旨 |
論文
|
相関行列に基づく主成分分析におけるCookの局所影響分析 |
張 方紅・田中 豊 |
制限付き最尤推定量による平滑化パラメータの選定: 効率的な計算方式とその適用 |
坂本 亘 |
級内相関係数に関するパーミュテーションテストについて |
酒折文武 |
グラフィカルモデリングのためのG-GM & L-GMデータ解析システム |
廣野元久 |
総合報告 |
フリーソフトウェア/オープンソースとは何だろうか |
深町賢一 |
ソフトウェア記事
|
統計教育ソフトUEDA |
上田尚一 |
学会活動記事
|
日本計算機統計学会第15回シンポジウム報告 |
白旗慎吾 |
日本計算機統計学会第16回大会報告 |
野間口謙太郎 |
欧文誌掲載論文概要: J. Japanese Soc. Comp. Statist., 14(1), 2001 |
越智義道 |
関連学会記事
|
COMPSTAT2002参加報告 |
宿久 洋 |
|
|
|
|
|
相関行列に基づく主成分分析におけるCookの局所影響分析
張 方紅・田中 豊
Cook(1986)の局所影響は, 基準関数として尤度距離を用い, 基準関数を摂動パラメータの関数と考えたときの法曲率の大きさでパラメータに対する影響の大きさを評価する方法であり, いろいろな観点からの影響を評価する一般的な方法として知られている. しかし, 尤度距離の定式化が困難なため, 主成分分析の影響分析など, 固有値問題で定式化される多変量解析の影響分析には, この方法は, ごく最近まで応用されていなかった. 本論文では, 多変量正規分布を想定し, 相関行列の固有値・固有ベクトルを関心のあるパラメータ, もとの変数の分散を局外パラメータとして, 尤度距離を定義して Cook の局所影響を評価した. また, そのやり方が影響関数に基づくわれわれの一般的影響分析法(Tanaka, 1994), すなわち, 影響関数に対する, パラメータ推定量の漸近共分散行列の逆行列を計量行列とする主成分分析によって複数観測値診断をおこなう方法と本質的に同じ結果を与えることについて議論した. 数値例により提案した方法の有効性を示し, また, これまでの研究結果と比較した.
|
|
制限付き最尤推定量による平滑化パラメータの選定: 効率的な計算方式とその適用
坂本 亘
罰則付き接近法の最適解として得られる平滑化スプラインのあてはめでは, 滑らかさを制御する平滑化パラメータの値をデータに基づいて適切に選定できれば,
非線形構造の診断に役立つ.ノンパラメトリック回帰の目的である「回帰構造の探索」の観点から,
制限付き最尤推定法による平滑化パラメータの選定方式の再検討が必要である.
本方式は平滑化スプラインの線形混合効果モデル表現に基づいているが, 既存のプログラムを利用する推定値の計算は時間を要する.種々のモデルへの適用を容易にし推定値を効率良く計算するために,
BLUP 方程式を利用して,制限付き対数尤度とその導関数が平滑化スプラインのあてはめに適した形で導出される.
文献事例への適用の中で, 本方式が回帰構造や誤差分散の構造に対する妥当な示唆を与えることが示される.
|
|
級内相関係数に関するパーミュテーションテストについて
酒折文武
母集団に級内相関構造を仮定したときの, 級内相関係数に対する検定問題について論ずる.
ノンパラメトリックな方法としてパーミュテーションテストに着目して, 級内相関係数に関する
1 標本問題・ 2 標本問題への適用について言及し, これらの検定が漸近的に正確で不偏な検定であることを確認する.
またその有効性と信頼性について, 数値シミュレーションを用いて検証する.
|
|
グラフィカルモデリングのためのG-GM & L-GMデータ解析システム
廣野元久
多変量解析の1つであるグラフィカルモデリングは,グラフで表される確率モデルであり,変数間の対称関係や因果関係をグラフによって簡潔に表現できる.その理論は,多元分割表の対数線形モデルと多変量正規分布の共分散選択モデルに基づいており,モデルの考え方は決して困難なものではない.しかし,実際の解析にはグラフィカルモデリング専用のソフトウェアが必要である.日本では宮川&芳賀(1997)によってDOS版のソフトウェア(無償)が開発され,多くの分野でグラフィカルモデリングの研究が進んだ.このソフトウェアの入手方法と使用方法は日本品質管理学会テクノメトリックス研究会「グラフィカルモデリングの実際(1999)」にある.ここで紹介するグラフィカルモデリングのソフトウェアG-GM(Gaussian
graphical modelling ) & L-GM(Log-linear graphical modelling )は,宮川&芳賀のソフトウェアの機能を高め,多くのユーザが対話的かつ簡単に利用できるように開発したものである.特に,多変量連関図(偏相関図)などのグラフィカルな事前分析機能や有向グラフあるいは連鎖グラフ作成のための機能など画面上での操作が可能になった.また,モデル選択は変数減少法を基本にして,解析者が対話的に変数間の線の追加および切断が容易に行える自由性を持たせている.G-GMでは,逸脱度によるモデル評価だけでなく,幾つかの適合度指標を導入している.なお,G-GM&L-GMのVersion2に関しては著者に連絡することにより,自由に使用・配布できる.また,詳しいマニュアルはソフトと共に提供される.
|
|
|
フリーソフトウェア/オープンソースとは何だろうか
深町賢一
フリーソフトウェア/オープンソースは「ソースコードの公開」を最大の特徴とするソフトウェアである.
今日, フリーソフトウェア形式の開発は多数行われており, 最近ではビジネスモデル/開発モデルとしての可能性も知られるところとなっている.
フリーソフトウェア開発モデルの成功は, インターネット環境の整備にともない世界規模で形成された開発コミュニティに起因すると考えられる.
このコミュニティを考える際には, インターネットというメディアの特性や科学者社会との類似性に着目することが重要である.
本稿では, オープンソースの開発モデルを概観し, その背景, 利点と弱点, そしてこれからの展望について考える.
|
|
|
統計教育ソフトUEDA
上田尚一
「講座:情報をよむ統計学:朝倉書店」に添付した統計教育用ソフトUEDA(Utility
for Educating Data Analysis) について紹介する.
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|