多変量データ解析の目的の一つに, データ空間の次元縮小によるデータ構造の視覚化がある.
その一つの手法として, 等質性分析(Gifi,1990)がある.
等質性分析は, 主成分分析等を特殊ケースとして含む分析法であり, 個体空間上でのベクトルとベクトルとの距離に基づく損失関数で定義された等質性を基準とした手法である.
本論文では, 等質性の概念の拡張として, 点と直線, 点と平面, 点と空間との距離に基づいた等質性の基準を導入し,
拡張された等質性に基づく損失関数の最小化によってデータ構造の視覚化を行う手法を提案する.
本論文では,連続ウェーブレット変換の高速計算法について検討する.すなわち,周波数領域で高速化を図るときに問題となる計算精度,位相の計算などに対する改善方法を考えて高速計算法を構成する.計算精度の改善については,Nyquist周波数から2オクターブ下げて,そこのマザーウェーブレットを用いることは有効である.この手法は計算精度をアップするにかかわらず,計算速度に影響を与えない.さらに,高周波数領域でも高精度を得るために,L-Spline補間を用いてサンプリングをアップする方法が効果的である.また,位相の計算については,本研究で提案した手法の有効性も確認されている.
Key words: Fast algorithm, Computation speed, Phase, Accuracy, Mother wavelet因子分析では, 因子の解釈を容易にするためにバリマックス回転がよく用いられる. 本論文では, このバリマックス回転を数量化法第2類に適用し, カテゴリースコアの解釈を容易にすることを試みる. この際, 回転の対象は, 項目毎にカテゴリースコアの度数重み付き平均を0とし, さらに個体スコアの群内分散を1とすることによって標準化されたカテゴリースコアである. 先ず, 人工的データを提示して, バリマックス回転を数量化法第2類に適用する手法の説明を行う. 次に, 老人医療データとFisherのあやめのデータにこの手法を適用し, その有用性を確かめる. 最後に, バリマックス回転を正準判別分析に適用した結果と今回の結果を比較する.
Key words: Factor analysis, Canonical discriminant analysis, Category score対称な1変量分布におけるk個のPrincipal Pointsの対称性については, これまでにさまざまな研究が行われている.
特に, Li & Flury(1995)は k個のPrincipal Pointsが対称性をもつような分布族を示した.
しかしながら, この定理は証明に関して誤りがある. また, 対称な1変量分布におけるk個のPrincipal
Pointsの対称性に関して, 従来の十分条件をみたす分布族とは異なる分布族についても考察が必要である.
本論文では, Li & Flury(1995)の定理を再検証し, 定理の誤りを指摘する.
また, Chow(1982)の定理に基づき, 対称性を有する1変量分布において密度関数が
連続かつ微分不可能な点を有限個もつ場合についても成り立つ, k個のPrincipal
Pointsの対称性に関する定理を示す. さらに, Trushkin(1982)の 定理を密度関数に適用することにより,
別の十分条件を示す.
以上の結果より, 対称性をもつ従来よりも広い確率分布族において k個のPrincipal
Pointsの対称性が成り立つことを示す.
種々の前提条件から逸脱している状況におけるt検定の危険率および検定力を推定するためのプログラムLocalSimの概要について報告する.本プログラムでは,母集団の正規性,等分散性および観測値の独立性という前提条件からの様々な逸脱状況を柔軟に設定することが可能で,実際の危険率と検定力を容易に推定することができる.